ホワイトハウスは、7月30日に初の包括的な暗号資産政策レポートを発表する予定です。これは、トランプ政権下での米国デジタル資産戦略における大きな転換点を示すものです。本レポートは、大統領令により義務付けられた180日間のレビューを経て完成したもので、今後の米国における暗号通貨、ステーブルコイン、中央銀行デジタル通貨(CBDC)へのアプローチの指針となると見込まれています。
レポートの中心となるのは、ステーブルコインへの明確な支持です。政権は、ステーブルコイン発行業者へ規制の明確化を図りつつ、明確に定義された法的枠組みの中でイノベーションの継続を支援する方針です。この動きは、ステーブルコインの発行と運用について基準を定め、市場の長年の規制不透明感を払拭したGENIUS法案の成立を受けたものです。
一方、今後発表されるレポートでは、政府主導のCBDCへの強い反対姿勢が改めて示される見込みです。Anti-CBDC Surveillance State Actといった立法措置が示すように、連邦準備制度によるデジタル通貨推進には断固反対し、プライバシーや政府による過度な介入への懸念が反映されています。
本レポートで最も注目すべき新施策のひとつが、米国戦略的ビットコイン準備金(U.S. Strategic Bitcoin Reserve)の創設案です。この準備金は、米国がデジタル資産分野で世界的リーダーとなることを目指すものであり、ビットコインを戦略的経済資源として活用しようとするものです。レポートでは、法執行機関の措置などで取得されたデジタル資産の保有実態が明らかにされ、今後の市場動向に応じた国家的な保有拡大策も検討されています。
さらに、国家安全保障や金融システムの健全性維持の観点から、不正資金や制裁回避への対策強化も盛り込まれる予定です。また、準拠する暗号資産企業への銀行アクセス拡大など、規制改革による機関投資家の参入促進にも言及しています。
この政策枠組みの公表は、デジタル資産ガバナンスの歴史的一歩であり、イノベーション・安全性・米国の戦略的利益のバランスを図りつつ、必要とされてきた規制の明確化を実現します。プロ投資家をはじめ、今後の動向には注視が必要であり、本政策が仮想通貨業界に世界的な影響を与える先例となる可能性があります。